肩の痛み

1-1 野球肩(投球障害肩)
【メカニズム】
・投球過多(投げすぎ)やフォームの不良その他全身的な要因により肩関節に負担が加わり発症します。
・肩関節の前方の緩みや、筋肉、関節包の硬さ(特に後方)が原因で発症します。
(損傷をきたしやすい部位→腱板、関節唇、関節上腕靭帯、肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭腱、腱板疎部)

【当院の対応】
①問診、病歴、理学所見、視診、圧痛、可動域、特殊検査、投球テスト等により損傷の部位や程度を確認していきます。
*この際、肩関節のみにとらわれず、下半身や体幹の動きを含めた総合的な判断をしていきます。
②治療・施術
・特定した患部の除痛(痛みの緩和)・壊れた組織の修復を早めることを目的とした物理療法(電気治療)
・周辺の循環改善のための手技療法
・患部の安静・圧迫を目的としたテーピング(安定・サポート)
③投球フォームのチェック、全身のコンディショニング
ストレッチにより拘縮の軽減、肩甲骨の可動性の回復、腱板訓練などにより安定性を向上させます。
<参考>青少年の野球障害に対する提言
【練習日数と時間】
(小学生)週3回以内、1日2時間を超えない
(中学生・高校生)
週1日の休養、個々の力量に応じた練習量
【全力投球数】
(小学生)1日50球以内、試合を含め週200級以下
(中学生)1日70球以内、週350球以下
(高校生)1日100球以内、週500球以下
1-2 インピンジメント症候群
肩峰下インピンジメント症候群はどの年齢層にも起こりえますが、若年者の肩をよく使うスポーツ競技者に多く見られます。
【メカニズム】
肩峰ならび肩峰下包が肩の動きの中で烏口肩峰アーチ(肩峰、烏口肩峰靭帯、および烏口突起)に繰り返し衝突して発生します。
症状は徐々に発生するカ挙上時の疼痛、ひっかかり感、筋力低下やこわばり、夜間痛、特に上肢を肩の高さより上で使った時の運動痛で肩を使うほど悪くなります。
▽以下のテストにより判断します▽
・有痛弧徴候(painful arc sign)
上肢を自動的に挙上、または挙上した位置から下ろしてくる時ほぼ60〜120度の間で痛みが生じるかどうかを見る。
・疼痛誘発テスト
徒手的に衝突を起こさせてみて疼痛が再現する現象をインピンジメント徴候(impingement sign)といい、その有無を見る。
【当院の対応】
疼痛が出現する動作を中止し痛みの緩和をねらいとした物理療法(電気治療)を中心とします。
肩甲帯や胸郭のアライメント(姿勢)が乱れている事が多いためそれを修正し、「肩甲上腕リズム」を正常に導きます。
肩甲上腕リズムとは?
肩を外転させる時の上腕骨と肩甲骨の共同運動をいい、肩のインピンジメントの原因の一つに関係していると言われています。
基本的なメカニズム
肩外転動作では、肩甲上腕関節2°外転するごとに肩甲骨は1°ずつ上方回旋するため運動のリズムは上腕骨と肩甲骨が2:1の割合で動きますつまり肩外転180°(耳の横まで上げた時)は肩甲上腕関節外転120°+肩甲骨上方回旋60°となります。
【当院が行なっている改善法】
①ストレッチポールを使用し、コア(体幹)を整える事により肩甲骨を本来あるべき位置に戻しアライメントを修正していきます。
②アシスティックという伸縮自在の棒を使ったエクササイズにより胸郭や肩甲帯、肩関節の可動域を拡げます。
背中や胸郭が疲労で硬くなっていたり、技術的に未熟なためにうまく使えないと腕だけでストロークをするため肩関節に無理な力がかかりやすくなります。
背中から肩甲骨をダイナミックに使うようにして肩の前方でインピンジメントが起こらないような良いフォームを維持できる体づくりをする事が最大の予防になると考えます。
肘の痛み

2-1 肘内側側副靭帯損傷
・肘の側副靭帯は、上腕骨と尺骨(前腕の骨)をつなぎ、関節が横方向にブレないようにしています。内側と外側にあります。
【メカニズム】
・捻挫や脱臼などの急性外傷により生じるものと、投球障害などの慢性障害としてのものがある。
(外傷性)
スポーツ時に手を伸ばした状態での転倒や柔道など格闘技での肘への固め技で、捻挫・脱臼を生じ内側側副靭帯が断裂します。
(慢性障害)
投球動作などの繰り返される肘への(外反)ストレスが原因で、靭帯に損傷が生じます。徐々に肘の内側に痛みが出てくる場合と、1回の投球時「パキッ、ブチッ」のような音とともに痛みが出て、投げられなくなる場合もあります。
【当院の対応】
・痛めた部位に痛みを和らげる物理療法と修復を促す物理療法を行います。
・必要に応じて一定期間シーネ(副木)等で固定します。
・段階を迫って、腕の筋肉のストレッチや筋訓を行い、肩を含め全身のコンディションを整えます。
*重症例は保存療法では対応できない・画像診断や専門治療が必要となる為、連携する医療機関にご紹介させて頂きます。
2-2 成長期の肘障害
・野球の投球、テニスのサーブ・バレーボールのスパイクといった動作を繰り返して行うことで肘関節の同じ部分に力がかかり続け痛めます。
・外側障害と内側障害、後方障害の3タイプに分けられます。
・障害があるところを押すと痛みが生じます。肘の動きが悪くなることもあります。
(外側障害)
外側の骨同士がぶつかることで生じます。(上腕骨小頭離断性骨軟骨炎)
(内側障害)
内側の骨に付着している筋肉や靭帯に骨が引っ張られて生じます。(リトルリーグ肘)
【当院の対応】
・痛めた部位を特定し、痛みを和らげ、修復を促す物理療法を行います。
・周りの筋肉や関節を緩める等、全身のコンディションを整えます。
・姿勢のゆがみ等が出ているケースは姿勢の指導を行います。
・必要に応じてテーピング等で筋肉の動きをサポートします。
手関節・手部の痛み

3-1 つき指
いわゆるつき指とは野球・バレーボール・バスケットボールなどの球技でボールを受けそこなった時や転倒して指を突いた時に発生する、指の関節周辺の怪我の総称です・
その中には、靭帯損傷・腱損傷・脱臼・軟骨損傷・骨折などが含まれています。
突き指というと軽い怪我と思われ、治療せずに放置、あるいは振ったり引っ張ったりしてしばらく我慢してしまいがちですが、治りが遅くなったり変形して機能障害が残ってしまうこともあるので、軽視せず早めに治療するようにしましょう。
【当院の対応】
・炎症を抑え、痛みを緩和する為の物理療法+壊れた細胞の修復を促す物理療法を行います。(電気・アイシング等)
・周囲の筋肉の緊張を和らげ、循環を改善する為に手技療法を行います。
・怪我の状態に即した固定(テーピング、副木、包帯)を行います。
・回復に合わせてマッサージやストレッチ、機能訓練を行います。