6-1 オスグット病
・小学校高学年から中学の発育期のスポーツ少年のお皿の下の骨(脛骨粗面)が徐々に出てきて、痛みを生じてくるものを言います。
これは、大腿(太もも)の前の筋肉(大腿四頭筋)がお皿を介して繋がる脛骨の付着部の骨端軟骨の剥離です。
スポーツでは飛んだり、跳ねたり、またボールを蹴る動作の繰り返しにより生じてきます。
休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発するという成長期に特徴的な痛みです。
【当院の対応】
・成長期に起こりやすい一過性のスポーツ障害であるが、出っ張りすぎると大人になってからも痛みを残すことがありますので、放置せずに適切に治療することが大切です。
・筋肉の収縮に引っ張られて痛みを発している部位に痛みを和らげる物理療法やアイシングを行います。
・大腿四頭筋の硬さを取るため、手技療法や物理療法、ストレッチ等を行います。
・症状と状況に応じたテーピングやサポーターの処方をします。
・全身的なコンディショニングや自宅でのケアについて指導します。
6-2 その他の膝の障害
①大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)
②膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)
③鳶足炎
④腸腔靭帯炎
等は、ランニングやジャンプを長時間繰り返し行うことによって膝に痛みが生じてきます。使いすぎ症候群とも呼ばれています。
靭帯や腱が骨につくところでは、筋肉の働きによるストレスが集中しやすく組織の小さな損傷が生じます。
また、靭帯が骨のすぐ上を通るところでは膝の曲げ伸ばしによって靭帯と骨の摩擦が生じて炎症の原因となります。
【当院の対応】
・痛みを緩和させ、組織の修復を促す物理療法を行います。
・周辺の筋肉の硬さをとり、循環改善の為の手技療法や物理療法を行います。
・テーピングや貼布やサポーター等の処方を行います。
・全身的なコンディショニング指導を行います。(ストレッチ・セルフケア等)
6-3 シンススプリント
・運動時および運動後にスネの中央から足首の近くまでの内側を広い範囲で痛みがおこる過労性障害です。
ひらめ筋、後脛骨筋、長趾屈筋などの足関節を底屈する筋や筋膜の繰り返し加えられる率引による脛骨の骨膜の炎症です。
陸上競技の中、長距離選手やサッカー、バスケットボールなど走ることの多い競技で、中学、高校生の選手(特に新人選手)に多く見られます。
・急激な走り込みや偏平足、回内足など障害の発生しやすい足の形、疲労による衝撃緩衝能の低下などがあげられます。
【当院の対応】
・痛みのある場所に除痛と修復を促進する物理療法を行います。
・疲労し硬くなった筋を手技療法や物理療法で緩めていきます。
・足のアライメント(姿勢)を整える手技療法や運動療法を行います。
・疲労を残さない為の日常のケアを指導します。
*同部位に限局した強い痛みが続く場合は、疲労骨折との鑑別が必要な為、連携する整形外科の受信を勧めます。
足関節・足部の痛み

7-1 足関節捻挫
・足首の捻挫はスポーツ障害の中で最も起こりやすく、バスケットボールやバレーでは、誤って人の足の上に乗ってしまった時、サッカーやラグビーではグラウンドのくぼみや芝生に足をとられて足首を捻ってしまう時などに多く発生します。
Ⅰ度→前距腓靭帯の部分損傷
Ⅱ度→前距腓靭帯の完全損傷
Ⅲ度→前距腓靭帯と踵腓靭帯の完全損傷
・足首を内側に捻っておこる「内返し捻挫」が多く、足首の外側の靭帯が痛みます。外くるぶしの前や下に痛みがあり腫れ圧迫(押すと痛い)が見られます。
*小児では小さな骨折を伴うものが多く検査が必要です。
【当院の対応】
・Ⅰ度・Ⅱ度の場合は腫脹や内出血を最小限に抑える為、RICE処置を行います。
さらに痛みを和らげ治療過程に速やかに移行する為の物理療法を行います。
・周囲の筋肉の緊張を和らげる為に手技療法や物理療法を行います。
・症状に応じて、包帯、テーピング、副子を使用した固定を行います。
・急性の症状が落ち着いてきたら、足指をはじめ、患部以外の関節の運動療法を開始します。
・競技への復帰に向けて関節の硬縮を防止し、機能回復を図るリハビリを行います。また、サポーターの処方等も行います。
*慢性足関節不安定症
・足関節の捻挫は発生件数が多いため、スポーツ現場では軽視されがちで、治療せず放置したり強い痛みが引いた時点で治療を中止してスポーツを再開し、再び痛めるといったケースが多々あります。
そのような場合、再発性捻挫・足関節の不安定感、急に力が抜ける等の後遺症に長い間悩まされることがあり、これを慢性足関節不安症(CAI)といいます。
将来の競技人生の為に、軽いと思われる足首の捻挫でも、その度しっかりと治療・再発予防を最後まで行うようにして下さい。